2008 Fiscal Year Annual Research Report
工業技能の伝承過程の認知科学的分析と教育工学的手法を活用した伝承システムの構築
Project/Area Number |
19500735
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
林部 敬吉 Shizuoka University, 情報学部, 教授 (20023624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 広正 静岡大学, 情報学部, 教授 (80109131)
雨宮 正彦 静岡大学, 情報学部, 教授 (00281056)
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Keywords | 工業技能 / 伝承 / 認知過程 / 伝承システム / 技能五輪 / 教育工学 / 師弟相伝 / 伝統工芸 |
Research Abstract |
日本の伝統工芸技能の師弟相伝による伝承方式を、現代的な諸工業承に生かすための方策について研究することを目的とする。そこで、技能五輪沼津大会での金メダリストを出したトヨタ自動車とデンソーの人材開発責任者、金メダリスト、指導に当たる技能コーチに取材調査した。その結果、次のような点が明らかにされた。 1.技能五輪という機会を利用して技能の伝承のために若手技能者を育成するという明瞭な企業目標がある。 2.技能五輪で金メダルをとるためのノウハウが蓄積されている。 3.企業内の技能高校あるいは短期大学校の生徒から技能五輪選手を選抜し、いわば英才教育を実施している。 4.選抜した選手に必要な資質は、器用であるといった能力ではなく、コーチの言うことが聴ける、素直で根気よく努力する性質をもつものである。 取材した企業では、技能伝承に際して記録されたものが師匠では「伝承ノート」として、弟子では「継承ノート」として残されている。これらは、文字、図、記号で記されていて電子化はされていない。もし、これらの記録が電子化され、技能伝承の関係者間で共有されれば、技能継承のための有効な資料となり生かされる。師匠の「伝承ノート」を弟子がいつでもどこでも参照でき、また弟子は自ら書き留めた「継承ノート」を公開することで、自らもそして他の技能研修者からも参照できる「場」が提供される。 本研究では熟練者と継承者との交流の場として、「伝承ノート」と「継承ノート」を電子化した「伝承-継承WEBNOTE」を試作した。このWEBNOTEでは、伝承-継承過程を記録・保存し、また誰でも参照可能となる修練を積む過程を参照できる。このシステムでは、技能を図解し、その要点を記すと共に、熟練者は継承者にコメントを、継承者は熟練者に質問することが可能である。
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Research Products
(2 results)