2008 Fiscal Year Annual Research Report
群馬県師範学校史料にみる科学教育と群馬県女子師範学校の郷土教育
Project/Area Number |
19500779
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Research Institution | Mathematical Assist Design Laboratory |
Principal Investigator |
玉置 豊美 Mathematical Assist Design Laboratory, 核物性研究室, 主任研究員 (50373551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤羽 明 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (40049846)
所澤 潤 群馬大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00235722)
高橋 浩 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80236314)
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Keywords | 科学教育 / 科学的社会認識 / 郷土教育 / 群馬県師範学校 / 群馬県女子師範学校 / 明治期教科書 / 簡易実験 / 群馬師範物理教師 |
Research Abstract |
平成20年度の最も大きな出来事は、外部からやってきた。一つは平成18年に我々が群馬県吾妻郡中之条町で発見した明治期の『物理筆記』に匹敵する筆字ノート、同名の『物理筆記』の情報が、日本物理学会誌平成20年11月号に載せられたことである。もう一つは平成20年秋に群馬県桐生市の旧家が、明治22年同家に寄贈された文部大臣榎本武揚の篆額に刻まれた文章を公開したことである。我々は明治期教科書研究会として継続的に各人がテーマを掘り下げているが、そこに大きなプレゼントをもらった形になった。その関連で、2009年2月14日にシンポジウムを企画した。ラーマは「特異点から透かし見る先人達の科学教育の実像」とした。我々は今まで明治期教科書から先人達の科学教育を洞察し、また、明治以降の科学教育の流れを考察してきた。今回のシンポジウムは、140年に及ぶ時間の中で、科学教育を受けた側からの記録と記憶を垣間見るような形をとることになった。シンポジウムでは名古屋大学名誉教授の木村初男氏と、大阪で教科書総合研究所を主宰している吉岡数子氏を特別講師として招いた。木村初男氏は新潟県の『物理筆記』発見者であり、日本物理学会誌への投稿者である。吉岡数子氏は教科書収集者として知られているが、今回は氏の満洲において受けた国民学校教育について語ってもらった。内地に帰国してから受けた教育と比して科学的であったと感ずるゆえんに触れてもらった。さらにこのシンポジウムには日本大学の研究グループが片山淳吉、宇田川準一を視野に参加発表してくれたので、120年前以前の科学教育にも話題が及んだ。群馬県、群馬大学を中心とした明治期教科書研究会が、一回り大きな舞台に飛躍した感があった。文部大臣榎本武揚の篆額には、桐生市の森山芳平父子がいかに近代的染色法を学び、それを元に桐生市における絹産業に貢献したかが書かれている。その文章中に県の医学校の化学士小山健三に学んだとあるが、その人が著した本が群馬大学図書館に存在するのである。ここでも、歴史的な時間が現代と交錯する瞬間に出会うことになった。このテーマは今後に発展が見込まれる。群馬県女子師範学校郷土研究の表題目録と論文選をまとめている。現在校正中であり間もなく出版の予定である。
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Research Products
(9 results)