2008 Fiscal Year Annual Research Report
在留外国人子女のためのアイデンティティを考慮した理科教育の実践的研究
Project/Area Number |
19500824
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
中丸 久一 Toin University of Yokohama, 工学部, 講師 (40172390)
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Keywords | メディア教育 / 理科教育 / 外国人子女 / アイデンティティ / デジタルコンテンツ / 理科実験 / 遠隔教育 / 異文化間教育 |
Research Abstract |
両親の就労のために来日している在留外国人子女(生徒)にとっての理科教育は、対象となる目然現象が母国と異なるため、異文化間教育の見地からも問題点が含んでおり、教育現場では大変な労力を課している。その要望から、視覚に訴える映像を利用した理科教育コンテンツを作成し、日本語教師を通して利用してもらってきている。しかし、母国と異なる自然環境下においては、日本の自然を対象とした理科教育が彼らのアイデンティティを損なうという危惧が生じる。彼らの母国と日本の自然の比較を行ないながら、彼らに対する理科教育を検討してみた。 今回は、執筆者の大学がある神奈川県に多く在留しているペルーからの生徒に重点を置いて検討した。両国の理科の教科書を比較し、ペルーに来航し自然を観察することで、彼らのアイデンティティに最も影響を与えているものが何であるかを探すことにした。結果、以下の事柄がわかってきた。 理科教育は日常生活を基盤とした自然現象を学ぶことが多いが、両国間には自然現象が異なる部分がある。一方の国で重要な自然現象が、他方の国では重要視されない自然現象がある。例えば気象現象である。日本では重要視するが、ペルーではあまり重要視されず授業ではほとんど触れられない。来日するまで意識してこなかった気象現象に、いきなり授業で触れることで、カルチャーショックが生じ、アイデンティティの喪失になりかねない。両国間の自然現象を考慮した理科教育をどのように行なっていくかは、考えなくてはならない問題であり、彼らが母国に帰ってから学ぶ理科教育にも考慮しなければならない。 一つの改善策として、外国人生徒の母国の理科の教科書に触れることが彼らのアイデンティティの喪失を防ぐものと思われる。 外国人子女に対する理科教育は異文化間教育の立場からも改善していかなければならない。これらの詳細を桐蔭論叢および学会にて報告してきた。
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Research Products
(4 results)