2009 Fiscal Year Annual Research Report
海成段丘を切る活断層の成因と古環境・古地震学的意義の解明
Project/Area Number |
19500887
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山崎 晴雄 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 教授 (70260784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 毅彦 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (60240941)
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Keywords | 活断層 / 海岸段丘 / 地震 / 自然災害 / 環境変動 / 断層長 / 海水準変化 |
Research Abstract |
海成段丘を切る延長の短い活断層は、存在が明瞭で変位速度や活動史に関する情報を取りやすいので、数多く調査されてはいるが、活断層が引き起こす地震の評価については未解明のままである。21年度の研究では北海道日高沿岸、佐渡島大佐渡北西岸、福井県越前海岸において海岸段丘を変位させる短い活断層について、地形学的な特徴、地質構造との関連、過去の地震活動、等の観点から現地調査を行った。越前海岸では短い和布及び鮎川断層について、MIS5c相当の段丘に少なくとも5m程度の逆向き変位を与えていることを確認した。越前海岸沖には更新等を大きく変位させる長大な和布-干飯崎断層が存在しており、海岸段丘もMIS5cが越前岬付近をピークに90~40mの高度を示し隆起運動を受けていることが分かる。和布・鮎川断層は旧汀線高度40~50mの海成段丘を切り変位量は小さいこと、陸側が落ちる逆向き断層であることなどから、前年度の分類では海域の大きな活断層運動に伴う、バックスラストの活動によるものと考えられる。 日高海岸の静内付近には、海岸線と平行に節婦断層、春立、荻伏などの短い活断層が存在する。節婦断層は泥火山の列として認められ、十勝沖地震の際などに泥を噴出して泥火山を成長させている。荻伏断層沿いの鳧舞(けりまい)では、海岸沿いのMIS5段丘に約5mの逆向き断層変位が確認された。一方、日高沖には海底活断層の存在は知られていない。泥火山形成は、地震により節婦断層沿いに応力集中が起き、地下の砂泥岩を液状化させたものである。鳧舞付近の断層も節婦断層と同じく新第三系中の断層が、過去の大地震の際に応力集中を起こして、そのエネルギーを液状化ではなく断層変位として放出した可能性が考えられる。日高海岸の活断層は変位の向きは異なるが、地質構造との関係は下北半島の出戸西方断層と似ている。本年の調査で、海岸段丘を切る活断層には地質構造との関係で少なくとも2つのタイプが存在することを確認した。
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Research Products
(4 results)