2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19509001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和多 和宏 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (70451408)
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Keywords | 発声学習 / 学習臨界期 / 遺伝子発現 / 発声行動 / 神経可塑性 / 動物行動 / 個体差 / ソングバード |
Research Abstract |
当該年度において、研究目標の第一に挙げた「発声行動依存性」+「神経回路特異性」+「学習臨界期間限定性」を兼ね備えた発声学習臨界期関連遺伝子群の同定を行ってきた。その結果、鳴禽類キンカチョウの発声パターンの学習中の幼鳥と発声学習を終えた成鳥との間で、発声行動時に異なる発現誘導効率をもつ遺伝子群の同定に成功した。今回、同定された遺伝子の一つにArc/Arg3.1があるが、グルタミン酸受容体のアンカープロテインとしての機能をもつことが知られている。キンカチョウでは、舌下神経核に投射している神経細胞特異的にその発現誘導効率が学習臨界期中のみに高いことを確認できた。これらのことは、同じ発声行動を生成していても、学習臨界期中とその後では、脳内の部位特異性のみならず、細胞種特異的に、神経興奮依存的な遺伝子発現誘導が制御されていることを意味する。現在、DNAメチル化修飾等によるエピジェネティック制御機構との関わりを検証する実験を施行している。 今回同定できた遺伝子群の多くに哺乳類ホモログが存在することを確認できた。上述のArcのノックアウトマウスでも、海馬での長期増強や学習・記憶形成に障害が示されている。これらのことからも、本研究で同定された遺伝子群の動物個体レベルにおける機能を検証することは重要であると考える。音声発声学習・生成の研究は従来使用されてきたマウス、ラットの動物種では不適であることからも、音声発声学習・生成にどのような行動表現系として今回同定してきた遺伝子群が関わっているのか興味深い。この検証に向けて、当該年度において行動観察、音声自動録音装置の設置を終えることができている。今後、ウイルス発現系等の遺伝子導入法により脳内遺伝子発現を操作することでどのような行動形式に影響がみられるか研究を進ある予定である。
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Research Products
(3 results)