2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
Effects of global warming and artificial instream structures on freshwater fish in Shiretoko Peninsula (World Natural Heritage), Hokkaido, Japan.
Project/Area Number |
19510017
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
TANIGUCHI Yoshinori Meijo University, 理工学部, 准教授 (30316145)
|
Project Period (FY) |
2007 – 2010
|
Keywords | 地球温暖化 |
Research Abstract |
近年、地球温暖化が魚類群集に及ぼす影響に関する研究は、「予測」の域から「実証」の域へとシフトしている。過去25年間で海水魚類18種が分布域を数百キロ北進させていることも報告されたばかりである。北海道・知床半島の河川に広く分布している冷水性魚類オショロコマはイワナの一種であり、同地域は本種にとって世界の分布の南限でもあることから、地球温暖化の影響評価の指標生物種として注目されてきた。しかし、地球温暖化が河川生態系に及ぼす影響は、実際にはダムの設置や河畔林の伐採といった、より局所スケールの環境撹乱に拍車をかけるファクターとして捉える必要がある。また、近年では温暖化の淡水魚類への影響予測では温度上昇にとどまらず、河川流量の増減による撹乱頻度や撹乱強度も要因として検討されるようになった。知床のオショロコマ個体群の中には人知れず絶滅に近づいているものがあると危惧され、同半島全域を網羅するような温度生息環境調査及びオショロコマの生態に関する調査は緊急課題である。 オショロコマは知床の生態系において中型ほ乳類及び大型猛禽類の重要な餌資源となっている。したがって、本種が半島の諸河川で減少すれば、知床の生態系全体に波及効果が及ぶであろう。同半島では1970年代より多数の治山・砂防ダムが建設され、同時に河道拡幅及び河畔林伐採が行われ水深も浅くなった河川が多い。さらに知床半島では過去26年間に一定の気温上昇傾向が認められることから、河川水温が既にオショロコマの生息限界(16℃)を超える河川も多数存在することが予測される。そこで、本研究では、知床半島の広域をカバーするように対象河川を設定し、オショロコマの温度生息場所と本種の生息密度の関係を検証する。これにより、知床の生態系保全をより一層確実にするための基礎データの蓄積ならびに具体的な保全手法を提案することを目的とする。
|
Research Products
(6 results)