Research Abstract |
申請者らはこれまでに,HSP27か短波長紫外線(UVC)損傷DNAの修復過程に関与することにより紫外線による細胞死誘導を抑制すること可能性を見いだし,さらに,HSP27結合タンパク質として,HSP70と,新たにannexinIIを同定した。そこで,申請者は,UVCストレスに対応し,annexinII,HSP27,HSP70から成るDNJ損傷ストレス防御複合体が,損傷DNAの修復過程に関わるとの仮説をたてた。この仮説を実証することが本研究の目的である。本年度の実験計画に沿って,annexinIIとHSP27の相互作用の詳細な解析として,紫外線照射後の両者の結合の変化と細胞内局在の変化,さらに,当初平成20年度に予定していたannexinII,HSP27,HSP70の三者の相互作用の解析も同時に行った。その結果,1)HSP27を結合させた樹脂を使用したpull down法と抗体を使用した免疫沈降法により,細胞質画分においては,紫外線照射前にHSP27とannexinIIの結合が認められたが,照射後はほとんど認められなかった。一方,核画分では,逆に,照射前には両者の結合が認められなかったが,照射後認められるようになった。2)HSP27とannexinIIは,ともに,紫外線照射後の核画分でタンパク質量が約2倍に増加した。一方,3)抗HSP70抗体および抗annexinII抗体を用いた免疫沈降により,HSP70とannexinIIとの結合は認められず,また,紫外線照射後の核画分における両者の結合も認められなかった。以上の結果から,annexinIIはHSP27と複合体を形成しているが,両者の複合体は紫外線照射に応じて,細胞質から核へ移行する可能性が示唆された。この複合体にHSP70が含まれる可能性は低いと考えられた。
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