2008 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質に応答する魚類シトクロムP450転写調節因子群のクロストーク評価
Project/Area Number |
19510069
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上西 由翁 Kagoshima University, 水産学部, 准教授 (60347086)
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / シトクロムP450 / AhR遺伝子 / 転写調節因子 |
Research Abstract |
魚類の体内にダイオキシン類やβ-ナフトフラボン(β-NF)のような生体外異物が取り込まれると、それを解毒するためにシトクロムP450(CYP1)遺伝子が転写される。AhR(Aryl-hydrocarbon Receptor)はCYP1の正の転写制御を行っており、ほ乳類と比較して魚類には2分子種が報告されている。本研究では、ニホンウナギを試料として、CYP1A,1B,1C遺伝子とAhR遺伝子の転写がどのような関係にあるのか、クロストーク評価について検討した。 AhR遺伝子については、現在までに5'RACE法によってクローンを得て、塩基配列を決定した結果、ニホンウナギには少なくとも5分子種のAhR1、AhR2(α,β)、AhR3(α,β)が確認された。AhR3(α,β)は系統樹ではAhR2とクラスターを形成するが、本研究では便宜上、AhR3と区別して表記している。Real-time PCRを用いて各AhR遺伝子の転写発現を組織別(脳、鯉、心臓、肝臓、腸、腎臓)に解析したところ、肝臓を除いたすべての組織においてAhR3遺伝子が対照区およびβ-NF投与区でAhR1,2のそれよりも高い構成的発現を示した。AhR1とAhR2では、特に肝臓においてβ-NF投与区で誘導的な高い発現が認められた。 トランスジェニック・メダカの実験では、CYP1の5'上流調節領域に存在するAhRの認識部位である異物応答配列とエストロジェン応答配列が転写に関与していることが示唆された。 Real-time PCRで組織別にCYP1の転写発現量を調べたところ、β-NF投与区の肝臓においてCYP1Aの誘導的な高い発現が認められた。以上のことから、肝臓におけるCYP1Aの高い誘導的発現には、AhR1とAhR2が関与しているのではないかと推察された。
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