2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間情報伝達機構制御に基づくバイオフィルム形成制御技術の開発
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19510081
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
池田 宰 Utsunomiya University, 工学部, 教授 (40151295)
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Keywords | バイオフィルム / バクテリア / 細胞間情報伝達機構 / クォーラムセンシング / N-アシル-L-ホモセリンラクトン / 阻害剤 / グラム陰性細菌 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
環境や工業、医療分野などで問題となっている微生物が形成するバイオフィルムの除去方法、発生・形成抑制技術として、強力な洗浄剤や殺菌剤、または物理的な洗浄以外の手法開発を目指し、細胞間情報伝達機構を制御することによるバイオフィルム形成を制御する新技術の開発を検討した。 我々は既にグラム陰性細菌の細胞間情報伝達機構であるクォーラムセンシング(QS)に対して制御効果を示すQSシグナル物質(N-アシル-L-ホモセリンラクトン:AHL)構造類似体であるアシルシクロペンチルアミド(Cn-CPA)を開発しており、このCn-CPAがグラム陰性細菌によるバイオフィルム形成に対してどのような効果を示すか検討した。 緑膿菌によるバイオフィルム形成に対するCn-CPAの効果を、フローセルを用いた実験系を構築して検討した。まず最初に、緑膿菌PAO1株と、そのQSシグナル物質合成遺伝子破壊株(MW1株)によるバイオフィルム形成能力を比較した。その結果、PAO1株は1-2週間でフローセル内にバイオフィルムを形成したが、MW1株の場合、フローセル底面へ菌の吸着は認められたものの、立体的なバイオフィルム形成は認められず、更に、MW1株の実験系の培養液に合成したAHLを加えたところ、PAO1株と同様なバイオフィルム形成が認められた。以上のことから、緑膿菌によるバイオフィルム形成にはQSが関与していることが確かめられた。続いて、PAO1株の実験系の培養液にCn-CPAを添加したところ、MW1株の場合と同様、フローセル底面へ菌の吸着は認められたものの、立体的なバイオフィルム形成は認められなかった。以上の結果から、我々の開発したQS制御物質であるCn-CPAは、緑膿菌のバイオフィルム形成制御に効果があることが示唆された。
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Research Products
(5 results)