2008 Fiscal Year Annual Research Report
海藻レクチンの高分解能立体構造にもとづく新規な糖鎖センサーの基盤確立
Project/Area Number |
19510218
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片柳 克夫 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (20291479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 貫治 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (50116662)
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Keywords | 糖鎖センサー / レクチン / タンパク質結晶構造解析 / X線 / 高マンノース型レクチン / 海藻レクチン / 抗HIV活性 / 高分解能立体構造 |
Research Abstract |
海藻由来のレクチンは新しいレクチンファミリーに属し,マメ科などの高等植物のレクチンとは一次構造や機能の点で全く異なる。しかも抗がん性,坑HIV性などの医学的有用性を持ちながら糖鎖認識が極めて厳密であるため,本研究ではこのような特性を持つ海藻レクチンの高分解能立体構造にもとつく新規な糖鎖センサーの構造基盤確立を目指した。本年度は,前年度に放射光施設で収集したESA-2の高分解能データの構造解析を行い結晶構造解析の論文化を進めた(論文作成中)。また同じ新規レクチンファミリーのE.cottoni由来のレクチンECA-1,アマクサキリンサイ由来のEAA-2の構造解析も行い,ほぼESA-1と同じ立体構造をもつことが明らかになり,海藻由来の新規レクチンファミリーは共通の立体構造をとることが本研究で明らかになった。アオコ由来のレクチンOAAについては研究分担者が昨年度に一次構造決定とクローニングを進め大量発現が可能になり,現在大腸菌リコンビナントOAAを用いて結晶化を進めている。また基質糖鎖複合体の構造解析に向けて,基質糖鎖であるM5糖鎖が昨年度は0.4mgしか調達できなかったため,強い親和性を利用して結晶に基質をソーキングする方法しかできなかったが,今回は20mgと大量に調達できるようになり,溶液内でタンパクと結合させてから共結晶化ができるようになった。すなわちソーキングでは既存の結晶を崩壊させてしまう問題があったが共結晶化によりそれが防げる可能性が開けた。OAAは他の海藻レクチンファミリーに比ベアミノ酸配列の長さが半分であり,M5糖鎖との結合も興味深く,これらを総合して高マンノース糖鎖にのみ特異的に結合するレクチン認識機構を解明し糖鎖センサー設計への構造基盤を確立する。
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