Research Abstract |
本研究は,掛け合わせによる品種改良においては,染色体数は必須の情報であることから,ウメを対象に,ウメ各品種とともにウメ品種作出に関わったと考えられる近縁種の染色体数を明らかにすることを目的とした。 富山県中央植物園の実梅品種:豊後,稲積,鶯宿,それに白加賀の4品種はすべて二倍体(2n=16)であった。花梅品種では,紅千鳥,紅冬至,紅筆,茶青花,内裏,藤牡丹枝垂,長谷川絞,緋の司,家康梅,幾夜寝覚,鹿児島紅,春日野,見驚,寿,紅緋梅,光揮,江南所無,黒田,舞扇,満月,米良,未開紅,簾の内,武蔵野,難波紅,思いのまま,大湊,大盃,緑萼,佐橋紅,西王母,青竜枝垂,新登,白滝枝垂,白牡丹,白難波,水仙梅,月影,八重旭,八重海棠,八重寒梅,それに楊貴妃の42品種は二倍体(2n=16),滄溟の月と塒出の鷹の2品種は三倍体(2n=24)であった。果樹試験場の実梅品種:実梅の57品種は二倍体(2n=16);花梅品種:赤なにわ,蝶花形,藤牡丹,寒紅梅,春日野,見驚,金筋梅,紅梅,巻立山,満月枝垂,道知辺,鶯宿梅,更紗,白牡丹,大輪緑萼,玉牡丹,玉垣枝垂,飛梅,冬至,司紋,それに八重咲寒紅の21品種は二倍体(2n=16),興津赤花と茶寿の2品種は三倍体(2n=24)であった。梅林公園の品種:青軸,紅鶯宿など35品種は二倍体(2n=16),御幸,乙女の袖,桜鏡,塒出の鷹の4品種は三倍体(2n=24)であった。 この観察の結果,実梅品種はすべて二倍体であり,花梅品種の一部が三倍体品種であった。三倍体品種に稔る果実の染色体数は,ウメにおける果実形成のしくみを理解するうえで興味深い。
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