2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミナミハンドウイルカ沿岸定住性個体群に及ぼす混獲の影響評価
Project/Area Number |
19510240
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
白木原 美紀 Toho University, 理学部, 研究員 (30449251)
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Keywords | ミナミハンドウイルカ / 定住性個体群 / 個体数 / 混獲 |
Research Abstract |
熊本県天草下島沿岸域に周年定住するミナミハンドウイルカ天草個体群の混獲死亡数を推定するために,昨年度と同様,有明海・橘湾においてイルカの混獲数を調べた.刺網漁業者130名余りに1年間に混獲したイルカの数を聞き取った.昨年度は少なくとも6頭のイルカの混獲死亡を確認したが,今年度の調査で新たに昨年度に混獲されたことが明らかになった個体と,生存しており逃がしたと報告された個体も混獲数に含めた.2年間の年平均混獲数は13頭であった.本個体群のイルカは,日中,天草下島の沖合に長時間滞在するが,この滞在時間は夏に高く,秋から春にかけて短くなる傾向がある.天草下島沖では周年を通して混獲があったが,有明海中南部における混獲は秋から春であった.1)イルカの混獲があった時期と海域が本個体群の海域利用の季節性と一致したこと,2)漁業者は同海域に生息する小型歯鯨スナメリとイルカを区別していること,3)混獲個体26頭のうち残骸を入手できた2頭が遺伝学的手法によりミナミハンドウイルカと判定されたこと,4)他の鯨種の出現はまれなことから,混獲された多くはミナミハンドウイルカであると考えられた.標識再捕法を用いて個体数を推定するために背びれの写真撮影調査を実施した.2008年の推定個体数は200頭余りであった.過去の推定値と比較して個体数の増減は検出されなかった,本個体群の生物学的除去可能量(PBR)は2頭と推定され,年平均混獲数13頭はこれを大きく上回っていた.
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Research Products
(5 results)