2009 Fiscal Year Annual Research Report
スターリン時代のソ連国境地帯における民族問題と統治政策に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19510242
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺山 恭輔 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 准教授 (00284563)
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Keywords | スターリン / ソ連 / 国境 / 新疆 / ポーランド / 極東 / 満洲 / モンゴル |
Research Abstract |
本研究では、ロシア・ソ連の全国境を地域的に八区分(フィンランド、西北部、西部、カフカース、中央アジア、新疆、モンゴル、極東)、時期的に四区分(国境形成、戦間期、戦時国境縮小・拡大期、戦後)し、特に国境地域に居住する民族問題に焦点を絞りつつ、国境隣接国との歴史的関係、国境成立にいたる背景、地勢学的特徴、民族構成、宗教・経済関係、国境線をめぐる紛争、国境変動の要因と変動過程、ソ連全体の安全保障的観点から判断される当該地域の持つ軍事的意味等の諸問題について個別的に検討を加えるとともに、国境警備隊の整備や税関の機能等全国的な国境統治の実態を解明することを目的としている。本年度は2009年9月から10月にかけてモスクワのソ連政府及び軍の史料館に通い、西部国境地域及び極東地域に加え、中国の新疆地区に関する史料をかなり収集することができた。同時に、相当数の関連書籍も収集し、旧レーニン図書館で関連書籍を多数複写した。2009年8月末に米国スタンフォード大学フーバー研究所にて満洲への白系ロシア人亡命者に関する史料を閲覧した。2010年3月には英国公文書館で英国外務省、インドオフィスの関連史料を閲覧し、英国の外交官、植民地官僚がまとめた新疆へのソ連勢力の浸透に関する史料を閲覧し、一部を複写した。現在日本のアジア歴史資料センターにある日本の外交、軍関係者による新疆関連の文書と突き合わせ、1930年代後半の新疆へのソ連勢力の浸透の状況について、昨年度のモンゴルに続いてまとめる作業を行っている。当面はソ連の新疆政策について分析し、引き続きポーランド国境に関する史料を分析し、論文の形にまとめる予定である。
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