2007 Fiscal Year Annual Research Report
韓国軍のベトナム戦争参戦の記憶をめぐる韓越比較研究
Project/Area Number |
19510247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20327993)
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Keywords | ベトナム戦争 / 韓国軍 / 戦争の記憶 / 謝罪 / 和解 |
Research Abstract |
2007年度はベトナム戦争中に韓国軍がおこした虐殺について、ベトナム側でどう記憶されているかを調べた。12月にホーチミン市で「ごめんなさいベトナムキャンペーン」を行った元ハンギョレ新聞記者で、現在NGOを通じて被害者救済活動を行っているク・スジョン氏にインタビューを行い、彼女の活動の歴史や背景、現在のNGOの活動状況について聞いた。その後2月に再度渡越して韓国軍が駐屯した地域のうちビンディン省を訪問、省博物館にて80年代末に博物館が作成した証言集などの資料を収集した。そしてテイフオック県の二村を訪問して虐殺を生き延びた人達にインタビューし、県や社が独自に、或いは韓国の様々な組織の援助で建設した記念碑を観察してまわった。更にダナン市郊外のハミ社をク・スジョン氏と共に訪問、彼女が懇意にしている被害者達から話を聞いた。その後ビンディン省に戻り、数週間のうちに850人もの被害者を出したテイソン県テイヴィン社を訪問、追悼式典に参加した。調査を通じ、ク・スジョン氏らNGOの活動が活発かどうか、或いは被害者・生き残った人の双方が多い地域と、集落ごと絶滅に近い状態においやられた地域など条件が複雑にからみあい、和解の過程も様々であることが明らかになった。また、この問題についての記憶の仕方が、虐殺を経験した地元と、韓国との良好な二国間関係を維持したいベトナム国家のあいだで大きくずれていることも、碑文の修正問題などを通じ明らかになった。家族を失い自身も身体障害者になった多くの虐殺被害者たちが、ク・スジョン氏達との交流を経て癒されて来た過程を理解でき、加害国の人々が真実と向き合えるかどうかが、真の和解に通じることを明らかにできたことが大きな意義であった。
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Research Products
(1 results)