2008 Fiscal Year Annual Research Report
韓国軍のベトナム戦争参戦の記憶をめぐる韓越比較研究
Project/Area Number |
19510247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20327993)
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Keywords | ベトナム戦争 / 韓国軍 / 戦争の記憶 / NGO / 和解 |
Research Abstract |
8月に韓国に渡航し、ソウルにて「ごめんなさいベトナム」キャンペーンを行ったハンギョレ21(週間誌)の編集者、コギョンテ記者と、「韓国現代史」の著者で、聖公会大学のハン・ホング教授などに会い、キャンペーンの過程や韓国世論のベトナム戦争参戦に関する世論の変遷についてインタビューを行った。参戦兵士のインタビューを日本人が行うのはかなり困難だが、通訳を依頼した友人、パク・ナムギュ氏のご好意により、仕事のため大邱から光州を訪れていた彼の叔父から直接ベトナム戦争に青龍旅団の一兵士として従軍した時の体験も聞くことができた。さらにソウルの戦争記念館を訪問して、ベトナム戦争参戦についての国家レベルの公定の記憶について書かれた資料を収集した。また2月にベトナムに渡航し、虐殺の生き残りの人々を助ける活動をしている韓国人歴史家、ク・スジョン氏についての映画を製作したベトナムの映画監督のヴァン・レー氏を訪問して、映画を鑑賞させていただいた。またクアンナム省と同省ディエンバン県で、虐殺事件に関する資料収集を行っている部署や、韓国NGOを受け入れている部署でインタビューを行った。また計3つの村に出向き、生き残りの人々や村の幹部から虐殺の状況や、90年代末からの韓国との交流について具体的な話を聞き取りした。韓越両国で様々な立場の人々の話を聞くことができ、韓国世論の分裂をひしひしと感じると同時に、被害国にもかかわらず、経済援助を得るために、歴史にフタをしようとするベトナム政府が、結局自国民の多様な歴史の記憶の仕方を抑圧している状況も明らかになった。このテーマの全体像を描くだけの基本的資料を集めることができたと言える。
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Research Products
(3 results)