2009 Fiscal Year Annual Research Report
韓国軍のベトナム戦争参戦の記憶をめぐる韓越比較研究
Project/Area Number |
19510247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20327993)
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Keywords | ベトナム戦争 / 韓国軍 / 戦争の記憶 / 和解 / NGO |
Research Abstract |
本年度は6月に韓国晋州市の慶尚大学で開かれた、韓国東南アジア学会と京都大学東南研の共催シンポジウム(The First KASEAS & CSEAS Joint International Symposium)に参加して、本研究について「韓国軍のベトナム派兵をめぐる記憶の比較研究-ベトナムの非公定記憶を記憶する韓国NGO-」のタイトルで報告を行った。韓国ではベトナム戦争参戦については、その評価をめぐり世論が分裂しているので、シンポジウムでも、それを反映して世代によって反応が異なったが、韓国人自身が研究しにくいことを、日本人が取り上げたことは、驚きをもって迎えられた。 また8月末から9月にかけてベトナムに渡航し、国立第2公文書館で、南ベトナム政府の韓国派兵に関するベトナム語資料の収集を行った。また韓国軍が駐屯していた地域のうちの一つ、フーイェン省を訪問して、文化局と省博物館で関連資料の収集と韓国との交流の発展についてインタビューを行うとともに、ベトナム人虐殺が派生した村々(ドンボア県、トゥイアン県、テイホア県)をまわり、生き残りの人たちから当時の様子、韓国NGOの活動、韓国への思いの変容、現在の韓国との関係などについて話を聞いた。さらに、韓国のハンギョレ新聞が「ごめんなさいベトナム」キャンペーンによって集めた寄付で建てられた「越韓平和公園」も訪問して、建設のいきさつや過程についてインタビューを行った。2007年度から開始した本研究では、ビンディン省、クアンナム省、そして今回のフーイェン省と調査したが、その結果、この問題への現在の対処の仕方が、省によってばらつきがあり、戦争の傷跡をめぐる「和解」の進展の仕方もまた異なっていることが明らかになってきており、真の和解を成し遂げるための様々な条件を考える材料を提供してくれている。
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Research Products
(3 results)