2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510251
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深尾 葉子 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (20193815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安冨 歩 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (20239768)
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Keywords | 黄土高原 / 生態文化回復 / 社会的植林 / 耕作放棄 / 結皮 / ダスト舞い上がり |
Research Abstract |
本年度は、夏季の現地での調査および現地、黄土高原での民間緑化団体と日本側研究者、大学院生を集めての会議の開催、秋の収穫期までの農地実験調査とその継続的観察などを行った。また、日本では、環境省へのブリーフィングを行い、黄砂研究、とくに黄砂の発生原因に関して、もっと社会的要因に注目すべきことなどを報告した。 春には、緑化に成功している村とそうではない村との社会的、歴史的差異に関する調査を現地で行った。これらの成果は、現在2008年度中に論文集として、東京大学東洋文化研究所紀要としてまとめる予定で、現在、原稿作成中である。 また、中国および海外のメディアもわれわれの活動をとりあげた。もっとも大きく報道されたのは、スペインの新聞『REVISTA』で、中国内陸部の砂漠化が人的要因によってもたらされていること、その回復のためのアプローチも人間のコミュニケーションに働きかける必要があること、などに注目したわれわれの活動の趣旨を高く評価した。 また、黄土高原でにおける文化的社会的コンテキストに依拠した緑の回復のためのゆるやかなネットワークづくりは、現地で徐々に知名度を増し、社会的、政治的に注目され参加者も増えつつある。ひきつづき、現地の人々の社会的なネットワークに働きかけて、主体的な生態回復をうながす活動を継続する。研究の方向性としては、農民の出稼ぎによる耕作遺棄や、墓地、植林地、そして通常の農地、道路など、人間の利用や社会的意味の違いによって、土壌表面の形質形状がどのように異なってくるのか、特に耕作や土壌表皮のスクラッチなどの関与が低下することにより、形成される「結皮」(ジエピー)と呼ばれる地衣類、コケ類、微生物などによる土壌表面の角質構造の形成が、黄砂舞い上がりの防止に大きな働きをすること、に注目し、その生成がどのような社会的コンテキストにおいて促進されるか、ということを調査研究する。
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Research Products
(2 results)