2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦争、市民、ネイション:オーストラリア、インドネシア、日本を繋ぐ太平洋戦争の記憶
Project/Area Number |
19510263
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
鎌田 真弓 Nagoya University of Commerce & Business, マーケティング学部, 教授 (20259344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 めぐみ 明星大学, 日本文化学部, 教授 (30247168)
内海 愛子 大阪経済法科大学, アジア太平洋研究センター, 客員教授 (70203560)
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Keywords | アラフラ海 / 太平洋戦争 / 地域史 / 豪文学 |
Research Abstract |
本共同研究は、1)アラフラ海周辺地域に着目し、地域史としての太平洋戦争の記憶の再構築を試みること、2)太平洋戦争が起こした生活圏からの断絶と戦後の再生の過程に注目して、住民の集団的記憶を分析すること、3)国家の周辺部あるいは植民地下にあった住民の戦争体験と記憶が、国民的体験としての戦争の記憶として、どのように包摂あるいは忘却されているかを分析すること、を目的としている。 鎌田は、ダーウィンとブルームの博物館/歴史資料館/記念碑に見る地域での太平洋戦争の公的記憶がオーストラリア国家の公的記憶とどのような共振を起こしているか観察した。さらに、そうした公的記憶に先住民の戦争体験が包摂されつつあるか分析するための資料収集を行った。加藤は、ブルームとダーウィンの地域作家の文学作品を収集し、日本人と太平洋戦争の描写に関する分析を行った。内海は、インドネシアでババル島の虐殺に関する資料収集を行うとともに、ダーウィンにて日本人真珠貝採集ダイバーに関する資料収集を行った。飯笹は、ダーウィンとブルームの学校教育における歴史教育と太平洋戦争の扱いに関する現地調査を行った。田村は、シドニー湾を攻撃した特殊潜航艇に関する日豪の博物館/歴史資料館での展示の差異、および従軍看護婦の顕彰のされ方に関する日豪の比較研究のため、来日調査を行った。 このように、アラフラ海というオセアニアと東南アジアを繋ぐ地域の住民の視点から地域史の再構築を試みた学際的共同研究は今までになく、本研究の意義は明白である。本研究では、太平洋戦争を転機とした地域史のダイナミズムを描き出すとともに、国民的体験としての戦争の公的記憶を批判的に考察し、オーストラリア/インドネシア/日本の三国を繋ぐ太平洋戦争の記憶の分析枠組を提起することによって、「戦争の記憶」研究に新たな視座を提供すると考える。
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Research Products
(4 results)