2007 Fiscal Year Annual Research Report
大衆婦人雑誌にみる近代日本のジェングー形成-誌面の多面的分析と読者調査
Project/Area Number |
19510274
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 涼子 Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (70224699)
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Keywords | ジェンダー / マスメディア / 婦人雑誌 / 大衆小説 |
Research Abstract |
今年度は公立図書館に完全には保存されていない『婦人倶楽部』および『主婦之友』の現物(古書)ならびに婦人雑誌に掲載されていた通俗小説の単行本(古書)の収集を行い、1910年代から1945年までの長期に渡る史料確保に努めた上で、以下の分析をおこなった。 (1)婦人雑誌のグラフィック情報の分析:『婦人公論』『主婦之友』『婦人倶楽部』の表紙に関して、資料を整理し、表紙の美人画の服装・髪型・身体技法など図像情報を数量化分析の作業を実施した。 (2)婦人雑誌の実用記事の分析:『主婦之友』『婦人倶楽部』に掲載されている膨大な量の実用記事の全体像を把握するために、衣食住のカテゴリー分けのみならず、価値観数量化の作業を実施した。 (3)婦人雑誌に連載されていた通俗小説の分析:婦人雑誌を中心に活躍していた加藤武雄に焦点を当て、彼の作品の分析を実施。その作品世界における物語構造を明らかにするとともに、婦人雑誌などに寄せられた愛読者の反応と併せて、女性にとっての「魅力」を考察した。 (4)通俗小説作家のライフヒストリー研究:婦人雑誌を中心に活躍し、女性愛読者を数多く有していた通俗小説作家として代表的な人物の一人として加藤武雄を取り上げ、自伝に関わる自筆エッセイおよび加藤武雄の評伝をあつめるとともに、神奈川県に在住の親族への聞き取り調査を実施することによって、大正期から昭和初期にかけて大衆女性読者層の台頭を背景とした通俗小説作家の誕生の経緯を明らかにした。
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