2008 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル時代の高齢者介護労働一日独の比較ジェンダー分析
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19510278
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
田中 かず子 International Christian University, 教養学部, 教授 (60217015)
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Keywords | ケアワーク / 認知症ケア / 高齢者介護 / 地域ケア / 地域ネットワーク / 家族ケア / 感情労働 |
Research Abstract |
1.良質の認知症ケアを提供する事業所の施設長や介護関係者からの聞き取り調査から、次の点が明確になった。(1)よいケアを提供するための努力は、組織内にとどまる傾向にある。組織を地域に開いてボランティアを広く受け入れる組織でも、組織外の介護関係者と協働する場は少ない。組織外とのネットワークにまで手が回らない、というのが現状だ。その中で、(2)トップが外部関係者とのネットワークを活性化させ、組織を越えた介護関係者のネットワークに力をいれているところがある。スーパーバイザーの元で異なる介護現場の事例研究を定期的に行い、互いに学びあう機会を確保。具体的な個々の事例を介して、直接的なコンタクトから互いに技能を磨き理解を深めるという、介護職の特殊性を生かして、専門性を高めている。(3)介護職のこの特殊性の理解・評価を高め、介護職の労働条件の改善につなげるためには、地域におけるケアネットワークを有機的に発展させる中で、生活支援への評価を高める必要がある。 2.感情労働に関して、問題は感情労働を十分に行うことができない労働環境の方であるが、単に苦痛を伴う精神的労働とみなす傾向にある。感情労働に関して一般読者に向けた論稿を執筆。 3.共同研究者であるモニカ・ゴールドマン氏を2009年1月27日から2月1日招聘し、現場の介護関係者(地域包括支援センター関係者、ケアマネジャー、介護職、看護職など)との懇談会を開催。これまで、個人-組織-国という三層構造を分析枠組みとしてきたが、よいケアの提供を目指すには、有機的につながるケア関係者の地域ネットワークという視点が重要となることを確認。日独比較の参照点を、認知症ケア、地域ケア、ネットワークとし、2009年9月6日にシンポジウム、「認知症ケアのこれから-当事者、家族、地域ネットワーク(仮)」を開催することとなった。特に現場の介護関係者と研究者とのコラボレーションに力を入れる。
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Research Products
(2 results)