2007 Fiscal Year Annual Research Report
セクシュアリティの観点から見た近代フェミニズム思想の成立と展開
Project/Area Number |
19510282
|
Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
川津 雅江 Nagoya Keizai University, 法学部, 准教授 (30278387)
|
Keywords | ジェンダー / セクシュアリティ / フェミニズム / 英米文学 / 西洋古典 |
Research Abstract |
本研究の研究期間の初年度にあたる今年度は、研究基盤を確立するために、第一に、本研究に関連する基本的資料・文献・刊行物などを収集した。海外出張では、ウエールズのスランゴスレンにあるプラース・ネウィズ(18世紀末のロマンティックな友愛関係の代表的なカップルであるエレナー・バトラーとセアラ・ポンソンビィの家)において、当時の貴重な視覚的資料や手紙などの文献を調査研究した。またケンブリッジ大学のユニヴァーシティ・ライブラリーで、特にレアブックルームにて、18世紀イギリスにおけるセクシュアリティ関係の稀覯書を閲覧し、必要に応じて複写の形で収集した。第二に、収集した文献を精読・分析・解読し、それらをデータベース化して検索可能なかたちに変え、今後の研究が容易になるよう計った。 今年度の研究成果の一部については次のように公表した。論文「舞台の上の異性装とジェンダー_マライア・エッジワースの『ベリンダ』」では、エッジワースが当時のロマンティックな友愛者や女性同性愛者(サフィスト)のように男装をし、サッポーのように両性愛者で、しかもウルストンクラフトのような「女性の権利」論者でもある女性登場人物を徹底的に戯画化して描いたことを考察した。論文「アン・リスターのレスビアン日記」では、セクシャルな女性同性愛者としての自覚があったアン・リスターの言説を分析し、女性の男性性と女性同性愛者の男嫌いとフェミニズムの関連を明らかにした。また、本研究にとって重要な情報を提供してくれる18世紀から19世紀初頭の文学・文化・社会状況を扱った書籍二点の書評を行った。最後に、「18世紀イギリスにおける女性とセクシュアリティ」をテーマに講演し、専門の異なる女性研究者らと貴重な意見交換を行った。
|
Research Products
(5 results)