2007 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀東北日本の武士、農民家族の性と生殖-一関藩の「育子仕法」と医療からみた-
Project/Area Number |
19510286
|
Research Institution | Junsei Junior College |
Principal Investigator |
沢山 美果子 Junsei Junior College, 幼児教育科, 教授 (10154155)
|
Keywords | 身体 / 生殖 / 医療 / 東北日本 |
Research Abstract |
本研究の目的は、東北日本の一関藩をフィールドに「育子仕法」の中で作成された史料群や地域の医者の診察記録も手がかりに、武士、農民の性と生殖の世界を、妊娠、出産、子育てという具体的な局面で、また家族のライフサイクルとも関わらせつつ明らかにすることにある。本年度は、そのために、一関市博物館所蔵の、一関藩の西磐井郡の村々の懐妊婦書上、赤子養育に関わる文書、および民間処方の収集と撮影、および読み本作成をおこなった。 ところで、一関藩の育子仕法は、文化期、嘉永期の二つの藩政改革の時期に取り組まれる。しかし、嘉永期については、史料の収集のみに留まっていたため、とくに、この時期の農民家族の懐妊、出産に関わる史料の解読、分析に取り組んだ。その結果、文化期と嘉永期では、懐妊、出産に関する史料の内容に変化がみられ、育子仕法が、堕胎・間引き取り締まりとして機能していない状況が明らかとなった。さらに、武士と農民家族の性と生殖に接近するための問題の枠組みを整理し「歴史における性・生殖・身体」(『立教大学日本学研究年報』6号)としてまとめた。 また本研究がフィールドとするのは東北日本であるが、東北日本と西南日本では、性と生殖のあり方、とくに出生コントロールのありかたが異なるのではないかという観点から、捨て子史料の収集に努めるとともに、西南日本の捨て子と家族・共同体の関係について考察し、ポルトガルのリスボン大学で開催されたThe seventh European Social Science History Conference (ESSHC): 2008年2月26日〜3月1日)において、「捨て子はどこに捨てられたか-19世紀前半における西日本の捨て子-」と題する報告を行い、英文フルペーパーはESSHCホームページにアップデートし、和文フルペーパーは『順正短期大学研究紀要』36号に掲載した。
|
Research Products
(4 results)