2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本倫理思想史における情念の総合的研究 ~『源氏物語』を機軸として~
Project/Area Number |
19520004
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木村 純二 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (00345240)
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Keywords | 倫理学 / 思想史 / 日本倫理思想史 / 情念 / 源氏物語 / 折口信夫 / 和辻哲郎 |
Research Abstract |
研究2年度となる今年度は、まず科研費における研究分担者の取り扱いの変更に伴ない、研究組織に若干の移動が必要となった。具体的には、初年度に研究分担者であった岡田安芸子(駿河台大学)・吉田真樹(静岡県立大学)・朴倍暎(東京大学)の3名の内、岡田・吉田の両名を連携研究者とし、朴を研究協力者とした。実質的な研究体制に大きな変動はない。 今年度は、計画通り9月と3月に、研究代表者と連携研究者2名・研究協力者9名による研究会が開催され、初年度に「明石」巻まで終えていた『源氏物語』の読み合わせを、「澪標」巻から「蛍」巻まで進めることができた。活発な議論が展開されており、特に仏教思想と王朝的栄華の理念との関係について、本居宣長の国学的方法の意義も含めて、様々な知見や解釈が交わされた。次年度も、この読み合わせの研究会が中心的な活動となる。 研究代表者自身の研究にあっては、単著『折口信夫-いきどほる心』(講談社)を5月に刊行し、国学(神道)・仏教・近代思想における情念の問題についての知見を発表することができた。同著は、毎年開催されている東京大学倫理学研究会での合評会に取り上げられ、特にユダヤ・キリスト教のいわゆる旧約神話との比較において議論が交わされ、得るところが多かった。また、著書では紙幅の都合上論じられなかった戦時期の折口の思想に関する論文を1本、所属する研究機関の紀要に掲載した。その他、日本倫理思想史研究の方法論に関連して、和辻哲郎『日本倫理思想史』の分析を進めている。
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Research Products
(2 results)