2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代における判断力の思想的可能性の検討 ―カント判断力概念の包括的再考を通じて―
Project/Area Number |
19520009
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
小野原 雅夫 Fukushima University, 人間発達文化学類, 教授 (70261716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 雄一郎 大東文化大学, 法学部, 教授 (50338612)
木阪 貴行 国士舘大学, 文学部, 教授 (10183790)
八幡 英幸 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70284718)
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Keywords | 判断力 / 反省的判断力 / 規定的判断力 / イマヌエル・カント / 哲学 / 倫理学 |
Research Abstract |
a.最新の研究資料の収集 最終年度につきそれほど集中的には行わなかったが、必要に応じて資料を収集した。 b.個別テーマ研究の推進 昨年度までの共同討議等を踏まえて、各自の個人研究を最終的な形にまとめあげていった。分業体制によって、カントにおける判断力を、生成と構造の両面から包括的に捉えていくことができた。哲学史全体を見渡す概念史的な研究を通じて、カントが判断力を規定的判断力と反省的判断力という2つの能力へと分節化していく発展史的な過程を明らかにするとともに、規定的判断力と反省的判断力とがそれぞれどのように働いて、どのように構造化されているのかを析出した。 c.共同討議 最終的な研究成果をどう公開していくかということを中心に、具体的な討議を重ねた。科研費研究会メンバーのみならず、カント研究会のメンバーにも協力を仰ぎながら、3年間の研究成果を世に問うべく、最善の研究公開方法を模索した。 d.研究公開 まずは、『現代カント研究11判断力の問題圏』(2009年12月、晃洋書房)として硬究成果を公刊し、個別テーマ研究の成果を収めた。同書には、事項索引、人名索引、書名索引を付し読者の便宜を図るとともに、比較的字数の多めの欧文要旨を付して国際的な発信も心がけた。また、カント文献の書評やカント文献目録も付し、現代におけるカント研究の最先端を伝える努力をした。さらに同書とは別に、科研費の研究成果報告書を作成した。これには、前述の『料断力の問題圏』に収まりきれなかった、この3年間の各研究者の関連論文を収録した。また、昨年度ドイツから招聘したクレンメ氏による3回のセッションの独文原稿ならびにその邦訳を収めることによって、世界水準の研究を紹介することにも努めた。
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