2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘレニズム哲学におけるアカデメイアとピュロン派懐疑主義の位置づけとその現代的意義
Project/Area Number |
19520033
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
金山 万里子 Osaka Medical College, 医学部, 教授 (10093189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00192542)
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Keywords | 自然学 / 倫理学 / セクストス・エンペイリコス / アカデメイア / 懐疑 / 相対主義 / 表象 / 認識 |
Research Abstract |
20年度も前年度に引きつづき、セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁3』第9巻-第11巻(「自然学者たちへの論駁」、「倫理学者たちへの論駁」)(京都大学学術出版会)の翻訳を進めた。その際、同著者のこれまでの翻訳と同様、今年度も、研究代表者と研究分担者間で分担箇所を分ける方式を採らず、翻訳、訳注、解説等すべての作業を共同で進める方針を堅持することによって、より完成度の高い原典翻訳の完成を目指した。 並行して、ケンブリッジ大学のG・E・R・ロイド教授の著作Ancient Worlds, Modern Reflections, Oxford, 2004の翻訳(研究代表者、分担者を含む四名の共訳)も進めた。本書は21年度中には出版の予定である(岩波書店)。この著作を通して、古代における客観主義、相対主義、懐疑主義の関係と、現代におけるそれらの関係の相違、またそのうちに見て取られる古代懐疑主義の現代的意義に関する理解を深めることができた。例えば、現代の科学哲学において実在論と構成主義の間で活発な論争が展開され、近年ではその間を調停する試みとしてR・N・ギャリーがパースペクティヴィズムを提唱しているが、古代における懐疑主義および相対主義の議論は、現代のそうした議論をいわば先取りするものとして解しうる。 またケンブリッジ大学への出張を通して同大学のロイド教授、バーニェット教授、セドレイ教授、スコフィールド教授と意見交換をし、アカデメイア懐疑主義の探求精神を軸としてプラトン哲学を新たな視点から眺めようとする方向性の正しさを確認できた。この点は研究分担者の論文(研究発表を参照)にも反映されている。
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Research Products
(3 results)