2008 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀以降のフランス哲学における、現象学と科学認識論の関係に関する研究
Project/Area Number |
19520035
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
米虫 正巳 Kwansei Gakuin University, 文学部, 教授 (10283706)
|
Keywords | 生命 / ドゥルーズ / シモンドン / 自然哲学 / 認識 / ドゥザンティ / ヴィユマン / 作用 |
Research Abstract |
科学認識論と現象学というフランス哲学の二つの系譜の間には錯綜した関係が存在しており、その複雑な関係の検討を通じて、対立という表面的な現象によって隠蔽された事柄を浮かび上がらせることを目的とする、という本研究の課題遂行のための作業として、2008年度は引き続き当該課題に関連する様々な資料を収集し、それらを生命と認識という二つの問題系に即して整理しながら読解していくという作業を行なうことで、以下のような成果と見通しが得られた。 1. 科学認識論の系譜におけるシモンドンとカンギレムの生命論を踏まえたドゥルーズの哲学を検討することで、生命論な哲学が同時に普遍的機械主義とも接合し得る自然哲学としても展開される可能性を持つことが判明した。このことから継続する研究のための方向性を次のように定めることができた。 (1)シモンドンやカンギレムやドゥルーズの哲学を、技術的対象についての考察としての技術哲学を含む自然哲学の方向へと展開する必要性。(2)科学認識論における生命概念を、贈与・身体・感受性など現代現象学の成果と共に自然哲学の立場から再考する可能性。 2. 科学認識論の系譜におけるドゥザンティの数理哲学を検討することで、認識という問題をめぐっては、現出と作用の概念に焦点を当てて考察する必要性が確認された。このことから継続する研究のための方向性を次のように定めることができた。 (1)20世紀前半におけるフランス科学認識論者たちの歴史的成果を、現出と作用という問題に即しながら再検討する必要性。(2)ドゥザンティの哲学を手掛かりに、ヴィユマンやグランジェら20世紀後半の現代認識論における現出と作用の関わりを追求する可能性。
|
Research Products
(3 results)