2008 Fiscal Year Annual Research Report
『中観明句論註釈』の文献学的研究によるインド・チベット中観仏教思想史の再構築
| Project/Area Number |
19520049
|
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
吉水 千鶴子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (10361297)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 秀範 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90225839)
小野 基 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (00272120)
|
|---|
| Keywords | 中観思想 / 明句論 / 大乗仏教思想 / 仏教論理学 / チベット仏教 / 帰謬論証 / 自立論証 / 主張命題 |
|---|
| Research Abstract |
平成20年度の研究実績として、研究代表者は次の三つの作業を連携研究者の助力を得て完了した。
1) シャン・タンサクパ著『中観明句論註釈』第1章1〜9フォリオの写本解読作業と校訂テキストの作成。
2) 同書に説かれる中観学説における論理学的要素の受容と排除の確定。
3) 2)に基づく研究論文の作成。
研究論文としてまとめ、発表した内容は次の二つである。
(1)12世紀のチベット人学者シャン・タンサクパは、自説の主張命題を立てず、議論においては対論者の主張を否定するのみである、という中観帰謬派の立場をとる。その場合の「主張命題」とは何かという定義と「否定」の意味について、解明した。
(2)シャン・タンサクパは、帰謬法の創設者は中観論師であることを確認し、論理学者たちによって定められた帰謬法の規則も、本来は中観論師たちによって創案されたものだという独自の解釈を示したことを明らかにした。
研究分担者佐久間教授は、唯識理論の形成へのスティラマティと玄奘の果たした貢献を明らかにし、小野准教授は、仏教論理学派が、言葉の対象として形相を考えるヒンドゥー教の学説批判をしたことを明らかにした。
|
