2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 明彦 Kyoto University, 大学院・文学研究科, 教授 (80159326)
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Keywords | 印度哲学 / 言語哲学 / バルトリハリ / 文章意味論 / サンスクリット |
Research Abstract |
バルトリハリ『文章単語論』の第二巻の写本の写真に基づいて、校訂テキストを作成する作業を続けた。文法学・言語哲学における重要な概念を対象としてタグ項目を決定し、テキストデータにタグをつけて、XML文書とする作業を行い、テキスト分析に利用可能な校訂テキストのXML文書化の試みを続行した。この間、写本そのものの画像を対象にして、その上に直接タグ付けをおこないつつ、各種のノートをつけ、さらに翻訳をも付すことのできる総合的な画像テキスト解析プログラムを、実験的に利用する機会を得た。しかし、このプログラムは、現在試行中のもので、インド系の文字への応用はまだ実験段階に止まっている。特に、申請者が目指すのがテキスト全体の分析であることから、このプログラムを使用しての分析はまだかなり不完全なままに残った。結果的には、旧来どおりのエディターによるテキスト作成と、それに基づく読解、翻訳、注釈作成の作業が今年度も主となった。この成果の一部は、バルトリハリの思想の影響を強く受けたと思われる、6世紀の思想家マッラヴァーディンの議論法についての総合的な研究として、平成21年4月末にスペインのバルセロナで開催されるインド哲学の国際学会で発表することになっている。インド哲学の初期の姿を示すマッラヴァーディンの思想の本格的な研究は、これまで余り行われておらず、本申請者の成果発表は、今後の研究にとって重要なものとなろう。
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