2007 Fiscal Year Annual Research Report
米軍占領下の琉球列島におけるキリスト教交流史の研究
Project/Area Number |
19520071
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
一色 哲 Koshien University, 人文学部, 准教授 (70299056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一色 哲 甲子園大学, 人文学部, 准教授 (70299056)
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Keywords | 軍事占領 / ポストコロニアニズム / 国家・地域社会・教会 / 社会派と福音派 / 沖縄キリスト聯盟 / 宗教聯盟 / 沖縄YMWCA / チャプレン(従軍牧師) |
Research Abstract |
本年度は、沖縄島(本島)で4回にわたり(2007年8〜9月、12月、2008年2月、3月)文献調査と聞き取り調査を行った。文献調査では従来から調査してきた沖縄県公文書館(南風原町)や沖縄県立図書館(那覇市)だけではなく、西原町立図書館、浦添市立図書館等市町村の図書館に所蔵されている文献の調査を行った。また、1940年後半に沖縄で活躍をしていた2名の牧師のご遺族(那覇市首里在住の方と豊見城市在住の方)に対面し、それぞれ手記やメモ等を閲覧する許可をいただいた。そして、それらの史料群,全体のデーターベースを作成し、資料所蔵者に提供した。また、1940年代の原史料を借用し、それを複写した。また、資料の閲覧の際に当該関係者から聞き取り調査を行った。 これにより、従来は伝聞や二次文献からの「孫引き」で叙述されてきた米軍の占領開始から1940年代末の沖縄島を中心とする教会や沖縄人信徒・牧師、また、米軍関係者、チャプレン(従軍牧師)の関係や沖縄人による教会形成と沖縄キリスト聯盟の実態が明らかになった。つまり、沖縄戦で生き残った少数の信徒や戦後本土から帰還した沖縄人信徒・牧師たちは、収容所でクリスチャン米兵やチャプレンの協力でキリスト教の集会を復活させ、洗礼式を挙行して新たな信徒を獲得していった、また、従来1946年2月6日創設と考えられてきた沖縄キリスト聯盟については、創立年が1947年1月9日である可能性が出て来たことと、年1回定期的に総会を開催し、2か月に一度理事会を開き運営に関して沖縄人伝道者たちが議論をしていることから、この時点で教派・教団的性格を有していたのではないかということが明らかになった。また、占領体制の確立期のキリスト教と仏教との関わりも今後の課題として浮上した。 こうした成果を日韓宗教研究FORUM第4回国際学術大会(国際学会、2007年8月)とキリスト教史学会第58回大会(同年9月)、第2回キリスト教史学会関西支部会(2008年3月)で発表した。
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