2008 Fiscal Year Annual Research Report
米軍占領下の琉球列島におけるキリスト教交流史の研究
Project/Area Number |
19520071
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
一色 哲 Koshien University, 人文学部, 准教授 (70299056)
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Keywords | 沖縄キリスト聯盟 / 仲里朝章 / 従軍牧師・チャプレン / 被占領体験 / 沖縄の神学・解放の神学 / 沖縄救済論 / 宣撫工作 / 沖縄のキリスト教人口 |
Research Abstract |
前年度、戦後沖縄のキリスト教の草創期に活躍をした当事者たちのうち数人の御家族からそれらの人々の日記や手記、メモ類の提供を受けた。本年度は、それらの一次史料をもとに1940年代後半の米軍占領初期のキリスト教会の歴史について、事実確認と当事者たちの思想的な内面の分析を進めることができた。 まず、当事者たちの日記・手記をもとに当該期の沖縄キリスト教史、および、キリスト教交流史を再現すると、先行研究で欠落していた事実がいくつか判明し、通説になっていたいくつかの事実について不正確であったことに根拠が与えられた。具体的には、この時期に作られた沖縄人によるキリスト教団体である沖縄キリスト聯盟(以下、聯盟)について、1946年2月6日とされていた創立日が、47年1月9日である可能性が強まった。また、聯盟では定期的に総会や理事会を開催しており、運営について詳細な検討がなされていること、加えて厳格な審査により信徒伝道者に按手礼が執行されていたことが判明した。以上のことから、聯盟はすでに教派・教団としての性格を有していたと思われる。 もうひとつ、本年度の大きな成果は、戦後草創期の沖縄のキリスト教界を代表する人物である仲里朝章について彼が残した200部あまりの日記・説教草稿等のうち1940年代後半の手記を分析した。その結果、仲里が戦前に内村鑑三や植村正久などの薫陶を受け養ってきたキリスト教信仰が、戦後沖縄の教会と地域社会の自立を目指して、自らの歴史観を再構築する原動力となり、それらをもとに理不尽な米軍による軍事支配への抵抗の原理となっていることを立証した。 なお、本年度と予定していた宮古・八重山地方の調査については、次年度以降の課題としたい。
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Research Products
(7 results)