2008 Fiscal Year Annual Research Report
「高野切本古今集」全20巻の復元研究-古筆復元の方法論の確立-
Project/Area Number |
19520092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森岡 隆 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70239630)
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Keywords | 高野切 / 古今和歌集 / 古筆 / 復元 / 仮名 |
Research Abstract |
本研究は、11世紀半ばの1050年ころ、3人の能書(第一種・第二種・第三種)が分担揮毫(寄合書き)した高野切古今集20巻の復元を課題とするものである。2年目の平成20年度においては、第二種・巻四の全80首を倉持宗起氏が、また第三種・巻十六の全34首を油田望花氏が、それぞれ復元を果たした。また完本ではあるものの、誤って重複揮毫された2首(270・298、ともに現存)を江戸期あたりに切除した巻子で伝存する第二種の巻五についても、研究代表者が特定し、橋本貴朗氏が検証した当初の位置(第4紙末と第8・第9紙にまたがる両紙)に、再配置した臨書巻を吉澤太雅氏が完成するなど、20巻すべての復元に向けて、順調に進捗していることを報告したい。 復元の根幹となる伝存断簡の調査においては、前年度に江戸時代のものと思われる模写断簡2葉(西尾市岩瀬文庫蔵)の複写を入手することができたことから、「11.研究発表」の項で後述のとおり、「高野切古今集巻ニ-131番歌模写断簡出現の意義」という小論にまとめて発表した。巻一-58・59(第一種)と巻ニー131(第二種)の2葉の模写断簡のうち、新資料となった後者が出現したことにより、直後に手鑑「藻塩草」(国宝・京都国立博物館蔵)所収断簡など3点を接続させることにより、巻二の巻末1紙(幅約53cm)がほぼ復元可能となった意義を詳述したものである。
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Research Products
(1 results)