2009 Fiscal Year Annual Research Report
「高野切本古今集」全20巻の復元研究-古筆復元の方法論の確立-
Project/Area Number |
19520092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森岡 隆 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70239630)
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Keywords | 高野切 / 古今和歌集 / 古筆 / 復元 / 仮名 |
Research Abstract |
本研究は、11世紀半ばの3人の能書(第一種・第二種=源兼行・第三種)が分担揮毫(寄合書き)した『古今和歌集』現存最古の写本ながら、完本3巻とわずかな零本・断簡(切)しか伝存しない「高野切本古今集」20巻を復元し、王朝古筆美を再現することを課題とする。 その方法は、「高野切本古今集」第一種・第二種・第三種の各々の仮名の字母とその頻度、連綿手法、詞書・詠者名・歌・左注を規則正しく配した書写形式などの特徴を踏まえ、また各々の同筆遺品も参考にしながら、臨書で培った技法を駆使して、外題(題簽)や内題、奥題も含め、欠失部分を倣書で補うというもの。 3年目の平成21年度においては、1葉の断簡(切)も伝存しない2巻の復元が成った。すなわち、第一種の巻十と巻十二で、いずれも原本に準じて縦26cm×横53cmの雲母撒き料紙を9枚継いだ全長477cmの巻子に、47首と63首を復元したものである。 研究期間も残すところ平成22年度の1年となったが、70首すべて復元しなければならない第三種の巻十七の完成に努めたい。同じく第三種の巻十九については、すでに一応の復元が成っているが、68首中38首の伝存が確認されていたときのものである。その後、2首(1051・1052)の断簡の存在が明らかになったことから(三井記念美術館蔵)、倣書で補っていた当該箇所を臨書に換える手直しの必要がある。その他にも、各巻の細部にわたって修正すべきことがあるが、何とか20巻すべての復元のめどがつきつつあることを報告したい。
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Research Products
(2 results)