2010 Fiscal Year Annual Research Report
「高野切本古今集」全20巻の復元研究―古筆復元の方法論の確立―
Project/Area Number |
19520092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森岡 隆 筑波大学, 芸術系, 教授 (70239630)
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Keywords | 高野切 / 古今和歌集 / 古筆 / 復元 / 仮名 |
Research Abstract |
本研究は、11世紀半ばの3人の能書(第一種・第二種=源兼行・第三種)が分担揮毫(寄合書き)した『古今和歌集』現存最古の写本ながら、完本3巻とわずかな零本・断簡(切)しか伝存しない「高野切本古今集」20巻を復元し、王朝古筆美を再現することを課題とする。 その方法は、「高野切本古今集」第一種・第二種・第三種の各々の仮名の字母とその頻度、連綿手法、詞書・詠者名・歌・左注を規則正しく配した紙面構成などの特徴を踏まえ、また各々の同筆遺品も参考にしながら、協書で培った技法を駆使して、外題(題簽)や内題、奥題も含め、欠失部分を倣書で補うというもの。 平成22年度は、70首すべて推定復元した第三種・巻十七の7.2mの長巻と、同じく第三種・巻十九の7.5mの長巻が完成。全巻がそろったことから、平成23年2月8日から13日まで、筑波大学総合交流会館にて「「高野切本古今和歌集」復元全巻完成記念展」を開催し、すべて巻頭から巻末まで広げて展示した。 これについては、2月7日の朝日新聞朝刊の文化面で掲載されたほか、7日・8日のNHK水戸放送局 ニュース、8日の朝日・毎日・産経・東京・茨城・常陽、11日の読売など各紙朝刊茨城版などで、画期的な展覧会として報じられた。また『芸術新潮』2011年4月号でも「みんなですなる仮名の正典《高野切》復元」の記事が掲載された(127~129頁)。 なお、上記すべての内容を記し、復元巻を図載した研究成果報告書『高野切本古今和歌集の復元』については、当初から2月の復元全巻展示後、1か月半で仕上げるというタイトな日程ではあったが、3月11日以降の東日本大震災の影響まことに大きく、5月末の刊行となったことをお詫びしたい。
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Research Products
(2 results)