2008 Fiscal Year Annual Research Report
パンドルフォ・ペトルッチ時代のシエナ芸術研究-1500年前後の芸術奨励政策-
Project/Area Number |
19520094
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上村 清雄 Chiba University, 文学部, 准教授 (60344959)
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Keywords | 美術史 / ペトルッチ / シエナ / 芸術奨励政策 / 宮廷文化 |
Research Abstract |
本研究は、1487年から1512年の死までイタリア中部の都市シエナを実質的に支配していたパンドルフォ・ペトルッチがこの都市で展開した芸術奨励政策をあとづけることを目指している。本年度は、かれがシエナ洗礼堂間近のサン・ジョヴァンニ広場とペッレグリーニ通りの角に1507年に完成した外見はつましい宮殿(パラッツオ・マニフィコ)を主たる研究対象とした。同宮殿は現在個人が所有し、公開されていないためシエナ美術品総監督局に実地調査の許可申請をおこない、2008年12月に同監督局研究員アレッサンドロ・バニョーリ氏の立会いのもと、同宮殿内部にて、建築の梁や壁面に残る装飾の精査を実施し、あわせて同氏と意見交換をおこなった。また、2000年に開催された国際学会の議事録をまとめた研究書『シエナの住まい(Le Dimore di Siena, Firenze 2002)』に寄稿しているシエナ大学教授ベルナルディーナ・サーニおよびカメリーノ大学のフランチェスコ・クィンテリオの、同宮殿を対象とした研究論文をはじめとする文献および写真資料にもとづきながら研究を進展している。そのなかで、15-16世紀シエナ芸術研究の第一人者であるアレッサンドロ・アンジェリーニ、シエナ大学助教授とペトルッチ時代の宮廷文化の特質について大変有意義な意見交換をシエナでおこなうことができた。同宮殿の天井画や壁画そして床モザイクは現在ほとんどがアメリカやヨーロッパの美術館に収蔵されている。同宮殿の主要な部屋「塔の間」を中心として宮殿全体の装飾プログラムを考察し、建築家ジャコモ・コッツァレッリ、画家ピントゥリッキョ、同ルカ・シニョレッリ、同じくジェロラモ・ジェンガ、木工家アントニオ・バリリなど実際の制作者がどのような貢献をなしたかに焦点をあてた研究成果を報告書にする作業を現在おこなっている。
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Research Products
(2 results)