2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本刀表面形態のデジタル画像データベース構築化への研究
Project/Area Number |
19520110
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河合 正朝 Keio University, 文学部, 名誉教授 (30051668)
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Keywords | 美術史 / データベース / 日本刀 |
Research Abstract |
平成19年6月から、(株)リコーの協力を得て日本刀用可搬型デジタル画像撮影装置の製作に着手した。刀剣研究家が肉眼鑑定する際の方法論を踏襲した日本刀表面のデジタル画像を作成する技術の確立に約半年を費やし、平成19年11月に試作期が完成した。2007年12月から佐野美術館所蔵の日本刀を中心に、実資料の画像撮影テストを開始した。山城派4口(重美吉光の短刀・重美来国俊の短刀・重美来国光の短刀・延寿国資の短刀)、大和派1口(保昌の短刀)、相州派2口(重文正宗の刀、重文国光の短刀)、備前派3口(重文宗忠の太刀・重美長光の太刀・重文兼光の太刀)の10口(宗忠は三嶋大社蔵他佐野美術館蔵)を画像撮影した結果、日本刀の焼刃の特色、地鉄の文様と色について、従来一般に行われている画像撮影法に比べ、高精彩の画像が得られることを確認した。 平成20年1月18日と3月8日の2回にわたり、上記撮影結果について、廣井雄一氏、廣木順一氏、伊藤公久氏、赤沼英男氏、および装置開発に従事した(株)リコー研究開発本部基盤技術研究所研究員を招聘し、デジタル画像評価会議を開催した。短刀については、「鉄の色」、「地鉄の文様」、「焼入れの状況」について、流派による差異を明確に見て取れるという点で関係者の見解が一致した。しかし、反りの高い太刀の場合、現在の装置では高精細の画像が得られないことが確認された。平成20年度は、この点について技術的改良を図り、反りの高い太刀についての高精彩画像の蓄積を図りたいと考えている。 地鉄の文様や色合いを見ることは、一般的には至難のことであるが、現在技術開発を進めているデジタル画像データを集積することで、日本刀の特色を容易に伝達することが出来るものと期待される。
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