2007 Fiscal Year Annual Research Report
オルターナテイヴモダニズムとしてのメキシコ壁画運動の検証
Project/Area Number |
19520116
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
加藤 薫 Kanagawa University, 経営学部, 教授 (40291968)
|
Keywords | メキシコ / アメリカ合衆国 / オルターナテイヴモダニズム / 壁画運動 / 美術史 / 現代美術 |
Research Abstract |
2007年8月28日より9月20日までの25日間にわたり、メキシコ、アメリカ合衆国におけるフィールド調査を実施。 メキシコではルス美術館コントレラス副館長の協力で隣接する国立修復センター所蔵分も含めメキシコ壁画運動に先行する現代壁画・絵画作品など14作品の映像資料収集。加えてロドリゲス市場ではイサム・ノグチ含む8作家壁画作品映像を収集。1920〜30年代の重要な壁画で日本の存在しなかった映像資料を確保した。 メキシコ国立美術研究所ではロペス研究員の協力で同研究所所蔵T.モドッティ撮影のD.リベラ壁画写真など計74点の複製確保。日本唯一の資料でモダニズムのオルターナテイヴな主題性や選択基準・表現方法の展開などの研究を深化させた。 ベラクルス州においては20世紀初頭の政府文化行政とモダニズム受容のプロセスの相関関係を示す一次資料を収集すると共に、これまで詳細不明だった現代壁画に表象された先住民時代美術の図像との相関関係を実作品の検証から確認した。 グアナフアト州においてはD.リベラ生家所蔵資料などから19世紀初頭に遡るモダニズムの非西欧的、脱西欧的な動態のルーツを政治、経済、社会思想、文化伝統などから多面的にとらえる文献・映像資料を収集し、ナショナリズムとアイデンテイティー問題の考証に重要な手がかりをえた。 アメリカ合衆国においてはカリフォルニア州サンフランシスコ市に残存するD.リベラ作品の文献・映像資料を収集し、1930-40年代におけるメキシコ壁画運動の移植と変容プロセス、新たな思想的・主題的展開の相についての新データを獲得した。 研究計画初年度ということもあり確実な成果を得ることを第一目標にしたが、この点ではほぼ達成できた。
|
Research Products
(1 results)