2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520139
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
石井 正己 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (30251565)
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Keywords | 佐々木喜善 / 柳田国男 / 遠野物語 / 昔話 / 遠野 / 観光 / 郷土研究 / 郷土教育 |
Research Abstract |
遠野市立博物館第55回特別展は「ザシキワラシ」をテーマにしたが、その中心になったのは佐々木喜善資料であり、これを機会に書簡・カードの整理を行った。その成果は、図録『ザシキワラシ』に、「佐々木喜善とザシキワラシ」「ザシキワラシ調査カード」「ザシキワラシ資料書簡翻刻」として掲載した。これによって、佐々木の行ったザシワラシ研究の様相が明確になった。 また、「民話と佐々木喜善」では、『遠野物語』の話し手に始まった佐々木が昔話採集に入ってゆく経過をたどり、その過程で「学校の怪談」を発見したことについて述べた。そうしたことを考えるならば、佐々木の仕事は昔話研究を越えて、民話研究に広がっていたことになる。佐々木の採集は、今なお、時代を越えて現代に問いかける課題を提示していると見るべきであろう。 その他、佐々木の編んだ『老媼夜譚』発刊80年を記念した復刻版を刊行し、また、そこで発見された女性の語り手については、「昔話を語る女性、昔話が語る女性」の発表でも述べた。佐々木のこうした業績は、文化における地方や女性のあり方まで示唆していることに驚かざるをえない。 なお、間接経費で印刷した『上閉伊今昔物語』は『上閉伊新聞』に連載された報告をまとめたもので、戦後、地元で佐々木喜善に刺激された郷土研究や郷土教育がどのように展開したかを示すことができた。こうした佐々木喜善の掘り起こしは、遠野のみならず、日本各地の郷土文化を考えるうえで、大きな刺激になることを確信している。まだ研究は始まったばかりである。
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Research Products
(5 results)