2007 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代のバーミンガムにおける「文学の社会学」運動
Project/Area Number |
19520219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雄三 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (10273715)
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Keywords | ニューレフト / カルチュラル・スタディーズ |
Research Abstract |
平成19年度における本研究の目的を次のように設定した。(イ)今日の伝統文化対ポピュラー文化という対立構造が最初に顕著になる1968年ごろに、バーミンガムを中心に生まれたカルチュラル・スタディーズという分野が、その対立構造を変革するために文学と社会、および文学とポピュラー文化との関係をどのように再定義しようとしていたのかを追及すること。その目的にしたがって、1968年ごろの事象について調査を行ううちに、ニューレフトの主要なジャーナル、『ニューレフト・レヴュー』創刊をめぐるさまざまなグループの交流が、1968年の文化・社会動向をある程度、決定していると考えるにいたった。そこで、ニューレフト運動の嚆矢となった『コンヴィクション』という論文集の刊行について、その社会・文化的な背景を把握することを目的とした調査と分析を行った。この論集には、外交官やイギリス統治領での治安警察の職を辞して、本国に戻ってきたエリートたちも寄稿していた。他方、カリブ出身のスチュアート・ホール、パキスタン出身のタリク・アリ、カナダ出身のチャールズ・テイラーらがロンドンというメトロポリスに集まっていた。彼らは、いわゆる第三世界と本国との移動を通して、バックグラウンドが違う者同士がコミュニケーションを取るには融通無碍なコミュニケーション・スタイルが必要であることを認識し合う。それは、1968年の社会変動のスタイルを考える上で、無視できない出来事であった。
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Research Products
(3 results)