2010 Fiscal Year Annual Research Report
アンドリュー・マーヴェルと17世紀英文学における戦争と平和について
Project/Area Number |
19520236
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉中 孝志 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30230775)
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Keywords | マーヴェル / 17世紀英国 / 戦争 / 平和 / 寛容主義 |
Research Abstract |
(1)本研究の主たる対象であるアンドリュー・マーヴェルとの関わりの中で重要な位置を占めながらも従来看過されてきたWilliam Davenantの詩作品Gondibert : An Heroick PoemをThe Third Bookを含めて精読し、その分析を完了した。ダヴェナントの王党派としての反戦思想は、マーヴェル作品との関連では本研究の成果としてその一部を報告に盛り込んだが、未発表の知見もあり、今後の論文のテーマとしたい。 (2)本年度も連合王国のブリティシュ・ライブラリー、及びボドリアン図書館で、英国17世紀中葉の文献に関して一次資料の分析を行った。また、7月19日から22日まで開催された、英国ダラム大学17世紀研究所主催の国際学会に参加し、17世紀研究全般の最新の動向をつかむとともに、他分野の17世紀専門家らと本研究のための意見交換を行った。本研究計画の最終年度であるため、7月までの研究成果の一部、'Questioning the Value of Prodigies and Wars : Milton and the Mirabilis Annus Tracts'を口頭発表し、意見交換を行った。 (3)清教徒の文献を中心にして精査し、戦争正当化の為の論理が神学的・政治的にどのように構築されていたかについての、これまで行ってきた調査と、先回の科学研究費の補助を受けて吉中が行った「17世紀英文学における宗教思想について」の研究成果の一つである「摂理」と「偶然」を含めた宗教思想と英文学の問題とを統合させた。その成果は、平成23年度5月出版予定のMarvell's Ambivalence : Religion and the politics of Imagination (Boydell&Brewer)の形で結実した。
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