2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520242
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
赤塚 若樹 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 准教授 (80404953)
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Keywords | 映像文化 / 中欧 / 視覚文化 / 表象文化論 / 東欧 / 映画 / 美術 / 文化史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀のチェコの視覚芸術にあらわれたその想像力のあり方について美術史的あるいは文化史的な文脈を考慮するだけでなく、歴史的・社会的・政治的状況をも視野に入れながら総合的に分析・検討し、その特色や独自性、ならびに現代アートに占める独特な位置を解明することにある。ひとくちに視覚芸術といっても多岐にわたるが、さしあたり[1]映画(おもに60年代の<ヌーヴェル・ヴァーグ>とアニメーション)、[2]写真(とくに1920年代に入ってからはじまる「新しい写真」とその系譜に連なる写真家たちの動向)、[3]絵画(とりわけシュルレアリスムとそれがチェコの視覚芸術全般にあたえた影響)、[4]グラフィック・デザイン(なかでもポスター芸術)、そして[5]コラージュ・アートという5つの領域で研究を行なっている。 今年度はとくに資料の収集に力を注ぎながら、つづく2年間で行なう「総合的研究」ための基盤と環境の確立を目指した。とりわけ映画にかんする映像資料を充実させることができた点は今後の研究にとって大きな意味をもつ。具体的な成果についていえば、世界的に評価の高い現代の映像作家ヤン・シュヴァンクマイエルの特徴について文化史的な背景を視野に入れながら考察し、また20世紀前半のチェコのアートシーンの動きについても詳細に検証することができた。そのほか都内のミニシアターでチェコをはじめとする中・東欧さらには世界のアニメーション文化について連続講演も行なってきた。今後は個々の領域の研究を継続的に進めつつ、より横断的な視点からチェコ独自のヴィジュアル・イマジネーションのあり方とその特質をあきらかにしていきたい。
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