2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520242
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
赤塚 若樹 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 准教授 (80404953)
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Keywords | 映像文化 / 中欧 / 視覚文化 / 表象文化論 / 東欧 / 映画 / 美術 / 文化史 |
Research Abstract |
視覚芸術を中心とするチェコ・アートにかんする著書を刊行した。3部構成で、第1部ではチェコの芸術家ヤン・シュヴァンクマイエルを多角的に論じ、第2部ではチェコの映画をあつかい、第3部では造形芸術のほかさまざまなチェコ文化にかんするテーマを取り上げている。いずれも本研究と密接なつながりがあるが、昨年度発表することができたシュヴァンクマイエルの特徴と20世紀前半のチェコのアートシーンの動きかんする研究成果はこの著書にもきわめて重要な役割を担う章として収められている。なお、これはチェコのアートを総合的に取り上げた書籍としては日本で最初のものといえる。都内のミニシアターで開催中の、世界のアニメーション文化についての連続講演も継続して行ない、チェコをはじめとする中・東欧もテーマとしてあつかった。これをとおして、この地域の政治的状況に深く結びつくプロパガンダという形式についてもいままで以上に注意を向けはじめている。これにかんする研究成果の一部が、次年度中に開催予定のロシアのプロパガンダ・アニメーションの上映会にまつわる資料に反映される予定となっている。チェコのヴィジュアル・アートについては、ほかにもさまざまな媒体をとおして研究成果を発表するようにつとめている。たとえばヤナーチェクのオペラの舞台美術やイジー・メンツルの映画にかんするエッセイのなかでも検討しているし、色彩にまつわる横断的な視点からの映像文化にかんする論考のなかでも1960年代のチェコ映画を取り上げている。こうした研究の背景には、昨年度から継続して行なっている、20世紀チェコの視覚文化にかんする資料の収集と、それをとおしてよりいっそうの充実を目指した研究の基盤と環境がある。
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