2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァイマール共和国時代における文学の大衆化とジェンダー
Project/Area Number |
19520269
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
田丸 理砂 Ferris University, 国際交流学部・国際交流学科, 准教授 (40386925)
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Keywords | 独文学 / ジェンダー / 都市論 / モダンガール / 表現 |
Research Abstract |
本課題研究二年目は主としてマリールイーゼ・フライサーのヴァイマール共和国時代の散文作品の分析に取り組んだ。特に重点を置いたのは以下の二点である。 1.近年のフライサー研究の整理:2001年のフライサー生誕100年を機に発表された、フライサーの書簡集や、フライサーについての本格的な伝 記など新しい研究動向を探る。 2.文学の生産の場としてのメトロポール(ベルリン)と地方(インゴルシュタット)の考察 1.に関しては、成果として以下に挙げた論文「Madchen像の変容とそのスペクトルム-マリールイーゼ・フライサーのヴァイマール期の散文作品におけるMadchenについて」を発表した。その際、ヴァイマール時代の版と1970年代の全集版のテクストを比較し、またフライサーの死後新たに発見された作品の分析や書簡集などを参考にしながら、フライサー作品に特徴的な孤独でナイーブな男性の暴力に晒されるMadchen像は、後年フライサーが作り上げていった可能性を指摘した。2.については3月と9月、二度にわたりフライサーの故郷インゴルシュタットを訪ね、フライサーの生家やフライサーの作品に登場する場所を見学した。フライサーの作品の生産の場としての大都市と地方とのアンビヴァレントな関係については、ジェンダーと関連付け、本研究をまとめる際に言及する予定である。 そのほかには三年目(最終年)の主要な課題である「ジャーナリズムと女性」の関係を探る前段階として、1930年代に作家や旅行ジャーナリストとして活躍していたアンネマリー・シュヴァルツェンバッハについて分析を開始した。本分析を通して作品の発表の場としての雑誌や新聞などの媒体、また旅行記に見られる空間の移動、写真などメディアの融合などを視野に入れ、考察を進めている。
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Research Products
(2 results)