2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジョージ・A・バーミンガムとグレン・パタソンを中心とする北アイルランド小説の研究
Project/Area Number |
19520283
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Research Institution | Beppu University Junior College |
Principal Investigator |
八幡 雅彦 Beppu University Junior College, 保育科, 教授 (50166568)
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Keywords | 融和 / キリスト教 / ユーモア / メタファー / プロテスタント / カトリック / ユニオニズム / ナショナリズム |
Research Abstract |
ジョージ・A・バーミンガムに関しては、オリニティー・カレッジ・ダブリン所蔵の書簡集(J.O.Hannay Papers)の調査とクイーンズ大学ベルファースト校図書館所蔵の短編小説集Minnie's Bishop(1915)とLove or Money(1939)を読むことを通じて、彼のキリスト教信仰が彼の小説と密接に結びついていることをさらに実感した。1934年1月にバーミンガムがイギリスのメルズ教会で行った旧約聖書の中の預言者イザヤに関する講話はBBCラジオで放送され、人々に感動を与え、彼は数多くの視聴者から感謝の手紙を受け取った。これらの手紙はバーミンガムがいかに人々を勇気づけるキリスト聖職者であったかを如実に示している。そして2冊の短編小説集中の多くの作品は、人々の対立をユーモアで解決しようとするものであり、その背後にはバーミンガムの心に深く根付いたキリスト教の寛容と博愛の精神がうかがえる。バーミンガムに関しては8月に放送大学の面接授業で講義を行った。 グレン・パタソンに関しては8月にベルファーストで実際に会って、主にThat Which Was(2004)とThe Third Party(2007)に関する話を聞いた。彼の全ての作品は、メタファーを効果的に用い、幾通りもの解釈が可能であり、それゆえに深みを備えている。そのことを、この2作を読むことにより、そしてパタソンの話を聴くことにより、さらに深く実感した。そして彼の最新作エッセイOnce Upon a Hill(2008)は、北アイルランドは紛争の地とはいえそこに住む多くの人々はごく普通の人々であることを教えてくれる。北アイルランドのコズモポリタン性を伝えているという点でパタソンは重要な作家である。
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Research Products
(3 results)