2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジョージ・A・バーミンガムとグレン・パタソンを中心とする北アイルランド小説の研究
Project/Area Number |
19520283
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Research Institution | Beppu University Junior College |
Principal Investigator |
八幡 雅彦 Beppu University Junior College, 教授 (50166568)
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Keywords | キリスト教 / 寛容と博愛 / ユニオニズム / ナショナリズム / プロテスタント / カトリック / 善と悪 / 普遍性 |
Research Abstract |
ジョージ・A・バーミンガムとグレン・パタソンを中心に北アイルランド小説の研究を行った。 パタソンに関しては、5月9日、日本アイルランド協会文学研究会(立教大学)において「Glenn Pattersonの小説と北アイルランド」と題して口頭研究発表を行い、パタソンの小説がいかに北アイルランドの現実を正確に描き、それがグローバルな普遍性を帯びているかを論じた。8月には北アイルランドで実際に彼に会い、最新作The Third Party(2007)について話を聞いた。これは北アイルランド、日本、世界のかかわりを描いた小説であり、この作品の意義と重要性については平成22年度に論文を書くことによって示す予定である。 バーミンガムに関しては、ロンドンの大英図書館、ダブリンのアイルランド国立図書館、ベルファーストのクイーンズ大学図書館で資料収集を行った。そして11月29日の日本アイルランド協会年次大会では、「"The Captain and the Enemy"-George A.BirminghamとGraham Greene-」と題して、バーミンガムがグリーンに与えた影響に関して口頭研究発表を行った。グリーンのThe Captain and the Enemy(1988)は、そのタイトルはバーミンガムのHyacinth(1906)の中に出てくる一節に由来している。バーミンガムもグリーンも信仰心の深いキリスト教信者として、何が善で何が悪かを追究した。今日ではバーミンガムはあまり読まれることはないが、グリーンやW.B.イエイツのような後世に名を残した作家たちに与えた影響を探ることによってバーミンガムの再評価を試みている。平成22年3月には『別府大学短期大学部紀要』第29号にバーミンガムの短篇小説「結婚式への招待」を、『大分県アイルランド研究協会会報』第24号に「クリスマスプレゼント」を翻訳発表した。2篇ともバーミンガムの深いキリスト教信仰に基づいた寛容と博愛の精神を示すものであり、本邦初訳という点で意義がある。
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Research Products
(4 results)