2007 Fiscal Year Annual Research Report
日中説話文学構築のための『法苑珠林』『夷堅志』の比較説話学的研究
Project/Area Number |
19520314
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
三田 明弘 Japan Women's University, 人間社会学部, 准教授 (00277865)
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Keywords | 説話文学 / 志怪小説 / 中国仏教 / 日中比較文学 / 法苑珠林 / 夷堅志 / 国際研究者交流 / 中国 |
Research Abstract |
本年度は本研究の第一年目であり,研究実施計画に基づき,以下の三項を中心に研究を実施した。 1.作者・時代状況の研究『法苑珠林』に関しては,その所収説話の多くの出典である『冥報記』の重要な語り手である岑文本の事績を中心に,貞観の治と称せられる唐代初期の政治的・社会的状況に関する分析を行い,時代とその中で成立する説話の関係性についての考察を行った。その成果の一部は「『冥報記』と岑文本」(「日本女子大学紀要」に発表),「『今昔物語集』震旦部と『冥報記』-戴冑幽霊譚を読む」(勉誠出版刊『中世文学の回廊』所収)などの論文にまとめ,既に公表した。『夷堅志』に関しては,北宋期の知識人グループについての調査と作者洪邁のプロフィールに関する分析を主に行った。 2.『法苑珠林』『夷堅志』の説話データベースの作成今年度は『法苑珠林』『夷堅志』本文の電子テキストを作成し,特に『法苑珠林』に関しては,テキスト全体から説話部分のみを抽出する作業も併せて行った。それらの作業を通してデータベースの基本となるデータが準備できた。そして理想的なインターフェースを持つデータベースとするために如何なるソフトを活用すべきかという点が次年度の重要な課題として浮上してきた。また,今年度作成した仮のデータベースを活用した研究成果として「霊験と怪異の間-『今昔物語集』と『法苑珠林』における張亮説話-」(「国文学研究」に発表)を公にした。 3.国内及び国外の図書館などにおける善本の調査 今年度は,国内においては関東・関西エリア,国外では,北京と台北において関連文献の調査を行い,洪邁に関する資料の収集などにおいて特に成果があった。
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Research Products
(2 results)