2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520326
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
MIYAMOTO Edson・T University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60335479)
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Keywords | 文理解 / 語順 / 日本語 / モーラ数 / 作動記憶 / かき混ぜ文 |
Research Abstract |
サンフランシスコで行われたアメリカの言語学会(83rd Annual Meeting of the Linguistic Society of America)で次のような内容について発表した。文中の二つの語の間で意味的な関係を作る際、隣接している語よりも、離れている語との方が難しいとされる。その距離に関しては、語数や談話における指示実体数を用いた数量化が有効であるとされているが、音声的な負荷についての実験結果は管見の限りこれまで報告がなかった。本発表では、距離の数量化にモーラ数が有効であるとの結果を報告した。実験では、日本語母語話者に「NP1ヲ・閥P2ガ・動詞」のような文を読ませた。この際、閥P2の名詞にはモーラ数の多いものと少ないものを使用した。結果として、文字数、親密度、頻度、意味の自然さに優位差はなかったが、読み時間に関わるものが二点明らかになった。(1)モーラ数の多いNP2の方が、モーラ数の少ないNP2より読み時間が長かった。(2)「ヲ・ガ」と「ガ・ヲ」語順の文を比較したところ、語順とモーラ数の間に交互作用が見られた。この結果から、かき混ぜ文である「ヲ・ガ」語順を処理する際に作業記憶に負荷がかかり、その負荷にはモーラ数に基づく距離が関わっていると言える。以上の結果では、文脈なしで文理解を調べたが、現在、文脈の影響を確認するために、文理解と画像処理の実験を行っている。文中に現れる単語の語順が文脈によってどう処理されるのか、特に画像で与える文脈が読み時間、文の自然さの判断、判断にかかる反応時間にどう影響するかについて調べている。
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