2009 Fiscal Year Annual Research Report
縦断データによる日英バイリンガル言語習得メカニズム研究
Project/Area Number |
19520358
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田浦 秀幸 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (40313738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 アマンダ 摂南大学, 外国語学部, 講師 (60388642)
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Keywords | バイリンガリズム / 言語習得 / 縦断的 |
Research Abstract |
バイリンガル被験者2人から10年以上にわたり収集したスピーキングデータ分析に関して、21年度は以下の点を遂行することが出来た。 これまでに完了した流暢さと語彙に関する下分析結果を更に細かく分析を進めた。第一言語してのバイリンガリズムの先行研究及び英語母語話者の母語習得研究から、De Houwer (2009), Altarriba and Morier (2003), Bialystok (2003), Butler and Hakuta (2003), Chin and Wigglesworth (2007), Meisel (2003), Nippold (2006), Pearson (2008), Piller and Pavlenko (2003)ら本研究と深い関連性のある研究を精査し、変数として加えるべきものを再考した。新たに加えられた変数は語彙に関するものと物語の組み立てに関するものである。語彙に関しては、up, down, sweetなど平易な単語であるが第2義的意味の習得(例えばcalm downのdown)がモノリンガル児と同等の時期にが起こっているのかどうか、産出データに関して分析を開始した。これ以外に、抽象語(freedom, longevity等),曖昧語(stuff, thing等),文学用語(doubt, assume等),程度を示す形容詞・副詞(pretty, decidedly等),文間副詞(similarly, contrastively等)も分析対象とした。更にTTRだけでなくCLANを用いてvocd分析も追加すすとともに、'ity' 'ious'等の接尾辞の使用様態も調査対象とした。英語母語児童が習得するイディオム100についてもモノリンガルとの比較を行った。 一方物語の組み立てに関しては、被験者から産出英語データを収集する際に用いたMayerのfrogシリーズを用いた先行研究で7要素が聞き手にしっかりと伝わっているのかを計測する指標として使われている例が多くあるので(Ragnarsdottir, 1991; Lanza, 2002)、この7指標を借用し、本研究の各データに照らし合わせて7要素が加齢に伴ってモノリンガルと同様の習得を示すのかどうか、2被験者間に差があるのかどうかについて検証を始めた。この物語データについては既にエラー分析が4-Mモデルを用いて完了しているが、非常にエラーが少ないので、再度音声データを聞き直し、スクリプトも読み直す作業を英語母語話者が行い、本年度新たに加えた分析結果とともにモノリンガルデータとの対比分析に用いる予定である。 本年度は、新たな変数の追加を決定したので、現時点では分析が完了していない。ただ、3年前に予定していなかった変数を付加することで当初想定していなかった部分の言語習得様態が明らかになる可能性が出てきたので、この成果を最終年度の研究総括に繋げたいと考えている。
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Research Products
(3 results)