2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520369
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 Waseda University, 国際教養学術院, 教授 (00329054)
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Keywords | 韻律 / リズム / 第二言語習得 / 拍 / 継続時間 / 音圧 / 基本周波数 |
Research Abstract |
今年度は日本語話者と英語話者による日本語と英語の発話データの収集と、先行研究の検証をすることにより、データ分析の手法を確立することを中心とした。英語話者のデータはアメリカのカンザス大学の言語学科と東アジア言語文化学科の協力を得、アメリカ中西部英語母語話者の発話データを収集した。日本語話者のデータは早稲田大学国際教養学部の学生に依頼し、英語習得レベルが異なるデータを収集した。現在、両言語話者の英語の発話のうち、単語の分析を行っている。分析は単語を音素に分け、ストレス及びアクセントの有無による各母音、拍、音素の(1)継続時間、(2)音圧、(3)基本周波数、(4)音圧、(5)第一、第二フォルマンとの測定を進めている。これまでの分析結果だけに関しては、英語話者の英語の発話には、ストレスの有無と音圧に相関関係が見られるが、日本語話者の英語の発話には、ストレスと音圧とに顕著な関係が見られていない。 発話リズムの音響分析、特に継続時間に関する分析手法に関しては、これまでさまざまな手法がとられてきたが、異なる言語間のリズムを完全に客観的に比較する手法は、筆者の知る限りまだ確立されていないが、近年の先行研究ではintervocalic interval,inerconsonantal interval,また両者の標準偏差などが広く用いられているため、これらの単位を用いたリズムの検証も行う予定である。 この研究を始める前に、試験的に行った小規模の実験では、被験者の数が非常に少なかったため、確実性は低いものの、英語話者の日本語の発話の韻律に母方言の差が見られた。今年度の実験ではアメリカ中西部方言話者のデータしか収集していないが、来年度はオーストラリア英語話者のデータを収集し、英語の方言で日本語の韻律に差が生じるかどうか、小規模実験の結果を検証する予定である。
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