2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520369
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 Waseda University, 国際教養学術院, 教授 (00329054)
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Keywords | 韻律 / リズム / 第二言語習得 / 拍 / 継続時間 / 音圧 / 基本周波数 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続きデータの収集を中心に行い、並行して昨年度収集したデータの分析に取り掛かった。今年度はオーストラリアのグリフィス大学の日本語学科の学部生を中心にオーストラリア英語話者の日本語の発話データを収集した。合わせて英語話者の日本語のデータの比較のため、及び日本語話者の英語の発話との比較のために、英語の発話データも収録した。データ収集の仕方は先にデータ収集を行った米カンザス大学でのデータ収集の方法をそのまま採用し、テキストも同じものを使用した。 データの分析は、最初に日本語話者の英語の発話の分析から始めた。結果の一部は昨年9月に早稲田大学で開かれたThe 2nd lnternational Workshop on Language and Speech Scienceと2009年3月に米国イリノイ大学で開かれた10th Generative Approaches to Second Language Acquisitionで発表し、論文を現在執筆中である。日本語話者の英語の発話の分析は、ストレスの有無による英語のテスト語の各母音と音節の(1)継続時間、(2)音圧、(3)基本周波数、(4)第一、第二フォルマント値を測定した。日本人被験者は英語圏に在住経験のある早稲田大学国際教養学部の学生で一般的な日本の大学の学部生と比べて英語の運用能力が高い。その被験者のストレスの有無による英語の母音の分析結果は、母音の継続時間、音圧、基本周波数では英語話者の発話と比較して有意な差が見られなかったが、第一・第二フォルマントの値には有意な差が見られた。つまり、英語話者の発話ではストレスがおかれない音節で母音の弱化が起きているが、英語能力が高い日本語話者の発話ではストレスがおかれない音節の母音の弱化が見られなかった。この結果の理論的裏付けを今後検証する予定である。
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