2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520384
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 隆 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00161993)
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Keywords | 方言形成 / 中央語の再生 / 日本語方言 / 感動詞 / 方言地理学 / 比較方言学 / 文献方言史 / 日本語史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本語の方言形成にあたって中心的な役割を果たしたと考えられる「中央語の再生」現象について検討し、この現象の特徴を明らかにするとともに、方言形成の一般原理としての理論的整備を行うことにある。本年度は研究計画の最終年度として、次の作業を行った。 1.量的研究:中央語の再生を概略的に把握する作業 感動詞の全国分布調査データ約1000地点分、及び、言語行動の全国分布調査データ約500地点分について回収された調査票を整理し、データベース化を行うとともに分析を行った。 2.事例研究:中央語の再生を個別的に把握する作業 上記の量的研究では、中央語の再生を概略的に把握することが可能であるものの、そのメカニズムの詳細に迫ることはできない。そこで、事例研究によってこの点を補足した。 (1)「全国方言分布資料」の作成と分析:特定領域研究(A)「消滅する方言語彙の緊急調査研究」(2000~2002年度)によって収集した資料のうち、言語行動やオノマトペ・感動詞の項目を取り上げ全国分布図を作成するとともに、その伝播・再生のメカニズムについて検討した。 (2)主要地点記述調査の実施:地方における再生の内容や要因を詳しく把握するために、宮城県北部から山形県北部にかけての地域を横断的に調査し、グロットグラムを作成・分析した。 3.総合・一般化による研究全体のまとめ 量的研究、事例研究の両方にわたるここまでの成果を総合し、一般化を行った。それにより、日本語の方言形成の一般原理として「中央語の再生」を理論付けた。特に、言語行動や感動詞、オノマトペといった談話・表現レベルの現象について、その背後に潜む言語的発想法に注目しながら、日本語方言の形成過程について一定の結論を得ることができた。以上の成果は、論文3件と研究書1件にまとめるとともに学会でも発表し、かつ全体を報告書として公表した。
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Research Products
(6 results)